生命が宿るビオトープ

田無神社の龍神池

龍神池を
のぞいてみよう

どんな生き物がここにはいるの?虫眼鏡をあててのぞいてみよう。

すいじんぐう

水神宮

田無神社鎮座当初、田無用水は田無神社を横断し青梅街道をくぐり石神井川に落ちていました。やがて用水は役目を終え、田無神社地中深くに沈める事になりました。現在もなお、田無用水は地下を流れており、石神井川に続いております。古くより田無用水をお守りする「水神宮」がこの場所にお祀りされています。現在は龍神池の浮き島にご鎮座されています。

たき

滝石は神奈川県真鶴町で採掘された相州・本小松石(赤目)を用いています。本小松石は現存する石材の中で最も古い歴史を持っています。本小松石は箱根火山の噴火により、約40万年前に流れでた溶岩が海に押し出されて、急速に固まって形成された石です。約1200年前の奈良時代にはすでに採石が行われていたと言われています。龍神池の本小松石は高さ2メートル以上、横幅約50センチの大きな石です。石の中心に穴を開け、ポンプを通して水の循環を行っています。ビオトープ内部の水の流れを観察してみよう。

かむばし

神橋

龍神池を作るためには、田無神社を見守ってきた「イトヒバ」の木を伐木しなければなりませんでした。「イトヒバ」はすでにほとんど枯れていましたが、これからも永く田無神社を見守ってもらうために材木を切り出し神橋としました。神橋は滝の麓にある水神宮に向かってまっすぐ伸びています。この橋は神様しか渡ることができません。良い子のみんなは橋を渡らないようにしましょう。

すいじんぐうごせんざのひ

水神宮ご遷座の碑

平成31年3月6日(水)に龍神池完成と水神宮のご遷座を祈念して「水神宮ご遷座の碑」が設置されました。地元の石材屋「湯沢石材」様のご奉納であります。

いなさく

稲作

水深1~5cmゾーンで稲作を行っています。6月上旬に稲を植え、御田植祭が斎行されます。稲が実り始める9月には台風などの影響を受けないことをお祈りする風祭が行われ、10月には田んぼの神さまに感謝して稲を刈り取る抜穂祭が斎行されます。収穫された稲は10月の例大祭で出御する本社神輿の鳳凰にくくりつけられ、神様に御奉納されます。稲作を一緒に行いたい「お子様」は田無神社の宮司さんまで連絡を!一緒に御田植えをして汗をかこう!

モツゴ

モツゴは、池や小川、用水路などに生息する小さな淡水魚です。やや上向きの小さな口をしていることから、別名「クチボソ」とも呼ばれています。関東地方では、古くから佃煮や唐揚げなどに加工され、身近な魚として親しまれてきました。
産卵期は4月から8月にかけてで、メスは石の表面に卵を産みつけ、孵化するまでの間はオスが外敵から卵を守ります。
水温の低い冬場は、落ち葉の下や石の隙間などに身を潜めているため、姿を見つけるのは難しくなりますが、ぜひそっと覗いて探してみてください。

いどみず

井戸水

池の水が蒸発することで、水位は徐々に下がります。龍神池では手水舎と同じ田無神社の地下帯水層から汲み上げた神聖な井戸水を流し入れることで水位を保っています。井戸水は水道水に比べて夏は冷たく、冬は暖かいと言われています。手水をとって井戸水の温度を確認してみよう。

こうていさ

高低差

龍神池は、水深1~5cmゾーン、水深15cmゾーン、水深30~40cmゾーンの3つの深さに分けられています。深さの違いに応じて異なる種類の水草を発芽・生育させることを狙いとしています。浅瀬にはモツゴやヤゴのベビーが集まり、深間には大人のモツゴやヤゴが暮らしています。深さに応じて異なる水草や生物を観察してみよう。

すいでんのつち

水田の土

多摩川沿いに位置する農家さんから譲り受けた大切な土です。土はビオトープの質を左右します。30年前まで水田だった場所を掘り返し、地元の子供達が龍神池に敷き詰めました。土の中で長い間眠っていた水草の種の発芽を見守りましょう。

やご

ヤゴ

ハグロトンボやクロイトトンボ、オオシオカラトンボなどの幼虫を観察することが出来ます。水生昆虫であるヤゴは肉食で、小型の水棲昆虫やモツゴを捕食します。夏にはトンボの産卵の様子やヤゴの捕食の様子を龍神池で観察することができるでしょう。

龍神地に住んでいる
生き物図鑑

全ての生き物を見つけることができるかな?

SR

(スーパーレア)

★★★★★

環境省または東京都のレッドリストVU 以上。

R

(レア)

★★★★

環境省または東京都のレッドリストNT、DD、留意種など。

A

(たまに見つかる)

★★★

B

(よく見つかる)

★★

普通種。都市や道端などでも見られる生きもの。

外来種

外来種は、生態系に影響を及ぼす可能性があります。

僕たちの暮らしをこわしてしまう外来種たち。

人為的に他の地域から入ってきた生物のこと。その一部は生態系などに重大な影響を与えることがあり、環境問題のひとつとして扱われています。

※VU 絶滅危惧Ⅱ類 現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧Ⅰ類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。
※NT 準絶滅危惧 現時点での絶滅危険性は小さいが、生育・生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。
※DD 情報不足 環境条件の変化によって、容易に絶滅危惧のカテゴリーに移行し得る属性を有しているが、生育・生息状況をはじめとして、
        ランクを判定するに足る情報が得られてないもの。

モツゴについて

多摩川水系に生息するモツゴ

龍神池が造成された際、他地域のメダカと交雑していない、貴重な東京在来の純系メダカ(ミナミメダカ)を特別に譲り受け、遺伝子保存の一助として飼育してまいりました。
しかしながら、誠に残念なことに、防犯カメラ等により、龍神池に他のメダカや金魚を放流する心ない行為が確認されました。このままでは交雑が進み、遺伝子保存という本来の目的が達成できなくなる恐れがあることが判明いたしました。
そこで、龍神池の純系メダカはすべて神社内にて室内飼育に切り替えることとし、令和4年(2022年)4月25日には、多摩川水系に生息するモツゴを新たに龍神池へ放流いたしました。
体長約10cmのモツゴは、小川や池に棲む淡水魚で、関東では「クチボソ」とも呼ばれ親しまれています。産卵期は5月から7月で、水草の茎や石の表面、杭などの硬いものに卵を産み付けます。モツゴは1年で成魚となり、寿命は約3年です。
これからも、地域の自然を大切にしながら、皆様に親しまれる、生き物豊かな池づくりに努めてまいります。

ビオトープ・トピックス!

龍神池の最新情報はここで見てね。

御田植祭

五穀豊穣を願って、秋に収穫された稲を神様に奉納します。

わが国の稲作は天から授けられたものであり、日本人の生活は、祖先から代々受け継がれてきた稲作によって支えられてきました。
田無神社では、令和元年(2018年)5月に、龍神池において初めて御田植祭が斎行されました。地元の子どもたちとともに五穀豊穣を祈念し、秋には収穫された稲を神様に奉納いたしました。

神話において、天孫降臨の際、天照大御神は邇邇藝命ににぎのみことに「斎庭稲穂の神勅」を授け、日本の国土を「豊葦原の瑞穂の国」とするようお命じになりました。この神勅により、稲作は日本の国の基盤として始まりました。

稲作は日本人にとって、単なる農業ではなく、日本民族の根源的な営みであり、使命であるとも言えるでしょう。全国の神社では、毎年2月初旬から4月後半にかけて、稲の豊作を願う祈年祭や春祭りが斎行されます。神社で神前にお供えされる神饌にも、米、餅、酒といった「米」に関わるものが欠かせません。
また、宮中においても、天皇陛下が御自ら水田にて田植えを行い、収穫された新穀を神嘉殿にお供えになり、慎みをもって召し上がられます。
田無神社では、この精神を受け継ぎ、御田植祭を通して稲作の尊さを伝え、秋の例祭日に収穫した稲を神様に奉納しています。

「斎庭稲穂の神勅」
訳)(わが高天原で栽培している稲穂をわが子(皇孫・邇邇藝命)にまかせよう)

「吾が高天原に所御す斎庭の穂を以て、亦吾が児に御せまつるべし」
訳)(高天原で育っている稲穂を、地上の世界(我々の住む世界)でも育てなさい)

令和元年御田植祭の様子

お祭りと稲作 稲作は神さまから授かった神聖なお仕事!お祭りにはお米作りと大きなつながりがあります。
祈年祭(きねんさい) その年の豊作をお祈りする予祝祭。
御田植祭(おたうえさい) 農作業の手順を演じ、豊穣をお祈りするお祭り。
風祭(かぜまつり) 稲が実り始める9月頃に行われるお祭りで、稲が台風などの影響を受けないことをお祈りするお祭り。
抜穂祭(ぬいぼさい) 田んぼの神様に感謝し、稲を刈りとるお祭り。
神嘗祭(かんなめさい) 10月17日に、その年の初穂を伊勢神宮にお祀りされている天照大御神(アマテラスオオミカミ)にお供えする収穫祭。