田無神社

生命が宿るビオトープ

田無神社龍神池

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龍神地の役割と価値

ビオトープ・ネットワークを作り、みんなで盛り上げていこう!

特定非営利活動法人 NPO birth
自然環境保全部 部長 久保田 潤一


2018 年11 月、田無神社に「龍神池」が出来上がりました。この池は、水神様をお祀りするとともに、ある重要な役割を担うため に作られました。池を構成する素材や構造は、こだわり抜いてあります。龍神池が作られた経緯、そして役割と価値についてご紹介 していきます。

池づくりのきっかけ

2018 年4 月の終わりごろ、田無神社の賀陽智之宮司からNPO birth の事務所に電話がありました。「神社の中に、子どもたちが生 きものとふれあえるビオトープを作りたい。相談に乗ってほしい」というものです。ビオトープとは、ギリシア語で命を意味する 「bio」と場所を意味する「topos」を合わせた造語で、野生生物の生息空間のことを指します。神社に池があるのを見ることはあ りますが、ビオトープを、それも一から作るという話は聞いたことがありません。自然環境の保全を進めるNPO birth にとって は願ってもないお話で、すぐに地元の工務店や造園会社との話し合いの場が持たれることとなりました。こうして、地元の子ども たちに対する賀陽さんの熱い想いから、池づくりがスタートしました。

田無用水の再現

神社という公共性の高い場所に、野生生物が生息し、子どもたちがそれを観察できる空間を創出する。これだけでも非常に素晴らし いですが、そこにもう1つ重要な視点を加えることになりました。それは田無用水の風景や、そこに存在した生態系を再現しようと いうものです。
昔、この地域には、「田無用水」という水路が流れていました。江戸時代の中期、1696 年頃につくられた水路です。地域の人々は この水路を流れる水を炊事、洗濯や農作物を作るために利用していました。そしてそこには、小魚やホタルなど様々な生きものが 暮らしていました。
しかし、昭和に入り、水道施設の整備が進むと生活用水としての田無用水の役目は終わりました。1964 年頃には、コンクリート の蓋で閉ざされ、現在の遊歩道になりました。江戸時代から300 年以上続いた水路の流れる風景や小魚やホタルの姿も消えてし まいました。龍神池を作ろうとしている場所は、まさにこの暗渠化された田無用水の真上だったのです。用水の復活は現時点では 難しいことですが、この場所に水辺を再現することは、その第一歩として大きな意味を持ちます。

着工前の龍神池予定地。

暗渠になった田無用水を偲ぶ神橋。

池づくりの工程

神社という公共性の高い場所に、野生生物が生息し、子どもたちがそれを観察できる空間を創出する。これだけでも非常に素晴らし いですが、そこにもう1つ重要な視点を加えることになりました。それは田無用水の風景や、そこに存在した生態系を再現しようと いうものです。
昔、この地域には、「田無用水」という水路が流れていました。江戸時代の中期、1696 年頃につくられた水路です。地域の人々は この水路を流れる水を炊事、洗濯や農作物を作るために利用していました。そしてそこには、小魚やホタルなど様々な生きものが 暮らしていました。
しかし、昭和に入り、水道施設の整備が進むと生活用水としての田無用水の役目は終わりました。1964 年頃には、コンクリート の蓋で閉ざされ、現在の遊歩道になりました。江戸時代から300 年以上続いた水路の流れる風景や小魚やホタルの姿も消えてし まいました。龍神池を作ろうとしている場所は、まさにこの暗渠化された田無用水の真上だったのです。用水の復活は現時点では 難しいことですが、この場所に水辺を再現することは、その第一歩として大きな意味を持ちます。

ビオトープの質を左右する土

龍神池を作るにあたって最もこだわり、そして苦労したのが池に入れる土の入手です。土は、池の生態系の基盤です。土の中に混 ざっている水草の種子が発芽することによって、多くの生物が生息できる環境が作られます。問題は、田無神社からなるべく近く 、かつ、田無用水と同じ多摩川水系に位置する池や湿地などから土を入手することができるかどうかでした。遠く離れた場所から 土を持ち込んでしまっては、田無用水の再現にはなりません。それどころか、別な地域の植物の種子を人の手で持ち込めば、国内 外来種を神社に侵入させることになり、生態系の撹乱に繋がってしまいます。様々な公園や河川沿いの湿地などの候補地を検討し 、交渉を重ねてようやく入手先が見つかりました。そこは多摩川沿いに位置する農家さんの土地でした。
現地に行ってみて驚いたのは、このお宅の水田にトウキョウダルマガエルが生息していたことです。本種はレッドデータブック東 京(2013)で絶滅危惧IB 類に選定されている希少種で、東京都内の生息地はほんの数箇所しかありません。ここの土は良い、そ う確信しました。実際に分けていただいたのはその水田の隣接地で、30 年前まで水田だった場所の土です。近年の研究により、 水草の種子の寿命は40 年程度であることがわかってきているので、水草の発芽が十分に期待できます。

多摩川沿いの農家さんの土。

スコップで龍神池に土をはる。

多様な水辺環境の創出

水辺に生息する動植物の種類は多様で、種類によって好む環境が異なります。池の中に多くの環境パターンを再現できれば、それ だけ多くの種類の生きものを誘致できることになります。
1 つのポイントは水の流れの有無です。池の中には滝を設け、ポンプで汲み上げた水を循環させているので、流水環境と止水環境 の両方があります。また、龍神池の深さは一様ではありません。極めて浅い場所(水深1 ~ 5cn)、やや浅い場所(水深15cm ほど )、深い場所(水深30 ~ 40cm ほど)の3つに分けられています。深さの違いに応じて異なる種類の水草を発芽・生育させるこ とを狙いとしています。

水深1~5cmゾーン

水深15cmゾーン

水深30~40cmゾーン

今後の展開

とりあえずビオトープ池は出来上がりましたが、楽しみなのは来年の春以降です。どのような水草が発芽し、どのような生物が やってくるのか、期待が高まります。
また、周辺地域へのビオトープの普及も進めていきたいと考えています。ビオトープは、それ1つでも有用なものですが、2箇 所3箇所と数が増えて連続性ができてくると、地域全体の生物多様性の質も上がっていきます。これをビオトープ・ネットワーク といいます。田無神社に龍神池が作られたことをきっかけに、周辺の小中学校、企業の敷地、個人の庭先などにもビオトープが作 られ、ネットワークが広がっていくよう、みんなで盛り上げていきましょう!

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