和歌療法へのいざない

はじめに

私 はこれまで精神科医や心理療法家として数多くの患者さんに接して参りました。幾多の症例と向き合い微力ながらもその回復に勤めて来た積りですが、気付けば 年々各地から診療やカウンセリングを御希望される方々が引きも切らず訪れてくれる様になっていました。
それらは確かに医師である私にとって本懐とも言うべきものではあり ますが、同時に私一人では十分な診療時間を確保出来なくなる諸刃の剣でもありました。
結果、現在私が向き合っている患者さんで診療所のスケジュールは飽 和状態となってしまい、数年間より新たな患者さんをお引き受け出来ない状況が続いています。
一方で、私は従来の「対個人」と言う形式に加え不特定多数の方々に 精神医療の一端でも御理解頂ければと思って著述や各地での講演を行っております。
まだまだ一般の方々には心の病について偏見や誤解が多く、それらが ある時はカウンセラーや関係医療機関から当事者の足を遠のかせたり、またある時は余計な情報が治療の妨げになったりしているのが現状です。
以上の様な経緯から私は現在直接的な診療やカウンセリングが出来な い代替措置としてウェブ上で、我が国の伝統文化である和歌に癒しの言の葉(ことのは)を託し皆様に御覧頂く事にした次第です。
手探りで試験的に始めたものですが、私の腰折れが「地の塩、世の 光」(マタイによる福音書5章13節)となれば幸いです。
身内を失いし人へ

 一 悲しみを 悲しむことぞ 有り難し
                言の葉に乗せ 天に送らめ
 
  二 己(おの)が身を 責むる心の 晴るるとき
               去りし愛児(まなご)の 笑顔見るなむ

  W:悲しむ事が有り難い、と言うのは・・?
 宮司:自己の中に鬱積(うっせき)していた感情が悲しみと言う表現で
    解放されるんだよ。そうすればいつか心はまた晴れる。
  W:なるほど。ちなみに、身内を亡くされた方へお勧めの書籍 はありますか?
 宮司:中公新書の「対象喪失」(小此木啓吾)は名著ですね。

「うつ」にて伏せる人へ

 頑張れと かける言の葉 柊(ひいらぎ)の
                とげの如くに 心突き刺し
 
  W:はて?「うつ」の人を周囲が励ますのはいけないんですか?
 宮司:「頑張れ」と声を掛けるのは人の温かさだよね。しかしうつを病む人々の心 にはまるで柊の
    
とげのように心を突き刺すんだよ。
  W:なるほど、良かれと思った励ましがかえって相手の負担になったりするので す ね。
 


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